水辺

日記/雑感

雑感(2023.12.8)

チバユウスケの死が受け入れ難い。彼にしか出せないあの嗄れ声がこの世から失われたのが悲しい。訃報が届いた日、日がな一日、ラジオが流れる部屋で自堕落に過ごしていた。こんなにもチバユウスケの名前と彼のバンドの音楽が外部から聴こえる日があるのかとぼんやりと考えた。同世代には突き刺さる訃報だったらしく、ショックを受ける友人たちも多かった。各々が彼の好きな曲やら気持ちを吐露することで、チバの不在に輪郭が帯びる。彼の歌声を求めて何度も聴いているが、そればかりでは凹むので他の音楽も聴いている。今週は好きな音楽家のリリースが多い。

折坂悠太の新曲「人人」が素朴な味わいだった。「栄養」と「ええよ」で韻を踏むのが彼らしい言葉選びだなと思う。ひらがなの「えいよう」に聴こえて、その柔らかい歌い方も今の気持ちに心地よい。THE NOVEMBERSの新譜『The Novembers』もかっこいい。一番好きだった時期の雰囲気を感じつつも、そのころよりも開かれた印象を受ける。

師走は予定が増える。今月は私の誕生日なので、何をしてもいいかという気分に陥る。もちろん、自制は必要なのだが。それでも幾分緩む。なるべく楽しく過ごしたい。月末、角銅真実のワンマンが行われるので、チケットを早急に確保。年の瀬に彼女のライブが見られるのは多幸感がある。ライブのタイトル「BIG HUG 2023」も素晴らしい。今年はハグの年。

オッペンハイマー』の日本公開が決まった。配給は、ビターズ・エンド。びっくり。楽しみだったかと言われれば微妙なところで、観るとは思うのだが、我ながら歯切れが悪い。ビターズ・エンドが配給権を取れた経緯も複雑な気持ちだ。要するに大手がビビったんでしょと容易に想像ができる。あくまでも想像だが、これが事実ならばあまりにも悲しくてダサい。

高田世界館の投稿が目に留まる。

どういうことだろうと思ったら『自由と壁とヒップホップ』というドキュメンタリーが上映中だが、上記の通り、お客さんがゼロだったらしい。内容を調べると「ヒップホップと出会ったパレスチナの若者たちによる、音楽による非暴力の抵抗を描き出した2008年のドキュメンタリー」とある。観る手段は少なそうだが、めちゃくちゃ面白そうだ。暴力の現実に心を痛めることはできてもそこからできる行動は少なく、そのひとつに募金がある。それも必要で素晴らしいことだが、意外と難しいのは関心を持つことなのではないかとたまに思う。こういう作品はとっかかりになる。少なくとも、私にとってはハードルを限りなく下げる。どうにか観たい。