水辺

日記/雑感

雑感(2023.11.29)

愛用のリュックのファスナーが壊れた。些細な損傷なので、使用には耐えるが、ついに壊れたかとショックを受ける。帰省時に「それ、丈夫だよね」と母に言われたが、そのときにすでに壊れていたのだろうか。あのときは丈夫だったのだろうか。新たなリュックを探すのは億劫だ。反面、自分の持ち物を見直して、適切なリュック、もしくはバッグを手に入れるタイミングとも言える。

28日、久しぶりに早稲田松竹に行った。夕暮れの高田馬場は学生で溢れ返り、息継ぎが難しい。さっさと劇場に逃げ込むと、私は若輩者。安堵と恐怖が入り混じる。ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーマリア・ブラウンの結婚』を観た。主人公のマリアを演じる、ハンナ・シグラが魅力的だった。女性の性的な魅力に惹かれることは少ないのだが、ハンナ・シグラのルックスは物語の推進力だった。ウルリケ・オッティンガー『アル中女の肖像』に影響を与えているのではないだろうかと予想。『アル中女の肖像』は鑑賞中に寝たのだが、今年観た映画の中では衝撃的な作品だった。

今年は新作よりも再上映を観る機会に恵まれた。現在は『ゴーストワールド』が上映中。私は未見。先日、スカートの澤部さんも試写会での鑑賞時のことを日記で触れていた。直接的な感想とは言えないのだが、じわりとくるエピソードだった。上映中の劇場とスケジュールを調べると、近隣の映画館でも上映中だった。しかしふと我に返る、2000円の料金。高い。定価では滅多に観ないので、たまにそれを思い出してため息が漏れる。鑑賞に躊躇いが生まれるならば「観なくてもいいか」に転ぶ金額。少なくとも私はそうだ。映画鑑賞とは貴族の趣味。

日記(2023.11.25)

快晴の予報だが、薄曇り。時折の陽光。私は雲を蹴散らす晴天が見たいのだが。天気に恵まれないからか、日記の導入が天気の話題ばかりだ。夜は神田で宴の予定なので、千代田区の周辺を歩きましょうかと湯気ちゃんに提案。昼過ぎ、九段下へ。北の丸公園を歩いた。北の丸公園は穴場の公園だと思っている。それなりの広さだが、人口密度もいい塩梅、にぎわいも適度。たくさんの犬も見かける。快活全開のマルチーズが可愛かった。植物と木々も多く、ちらほらと紅葉が。紅葉ってこんなに遅いんだっけかとも思うが、季節のバグも著しい昨今、正解がわからない。たまにピカピカの光が雲間を通り、待ってましたと言わんばかりにフォトスポットと化す銀杏と芝生。鮮やかに色付いた銀杏に人間たちが集まり、思い思いに写真を撮る光景は愛おしいなと思った。

千代田区の周辺を歩くのは楽しい。北の丸公園はもちろん、首都高の下を流れる綺麗とは言えない河川も好きだ。竹橋駅の最寄りにある、東京国立近代美術館もお気に入りの美術館のひとつ。道中、西日を浴びて橙色に染まるビル群にも見惚れた。

神田スクエアの施設内にある、ANGERSという雑貨と書籍を取り扱うお店へ。私の好みだろうという予想だったらしく、それは大正解。選書も好みだった。面白い本を見つけたので、備忘録がてら、Amazonのリンクを載せる。イラストも素敵だった。

陶芸家の鷲沢ワシ子さんの個展が開催中だった。聞き覚えのあるお名前だなと思ったら、笠間市で活動中で、同市の陶器市にも出店していたとか。今年も行ったので、その話をする。のちに鷲沢さんのInstagramを見ると、大阪の器のお店、埠頭のPOPUPに参加していたことに気付く。おそらく、こちらで知ったお名前だろう。合点がいく。鷲沢さんの作品は石ころっぽい。触り心地も、テクスチャも。川べりに転がる石に紛れていても違和感がないのだが、明らかに手の加えられた石ころの様相で奇妙だった。作品を持ち帰りたい衝動に駆られたので、惑星を思わせる箸置きを買った。ごろんと大きな存在感が気に入った。

近江屋洋菓子店に立ち寄り、神田の味坊へ。友人も合流。大所帯のお客さんが多く、店内はにぎやかだった。お隣はSNSの飲食系のアカウントでは有名な人で、それを友人(食いしん坊)に伝えたら、一発で通じて面白かった。我々は、ラム肉のクミン炒め、板春雨の冷菜、水餃子、ニラと玉子のおやき、麻婆豆腐、砂肝の葱和えなど、豪遊。料理を食べるたびに感想を言い合い、これは稀有だなと思った。特に麻婆豆腐はそこに羊を感じられる味で、全員が驚いて硬直。美味しかった。ギリギリまで居座り、上機嫌で解散。休日らしい休日を過ごした。

日記(2023.11.22)

休日だが、職場へ。たまに私服で職場に行くと、印象の違いに触れられる。常連のお客さんに洋服を褒められたが、その様子を同僚と上司に見られた。気恥ずかしい。上司と映画の雑談をする。試写だか映画祭だかで観たらしい、ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』の感想を聞いた。年内の公開が間に合っていたら今年のベストだっただろうとのこと。期待が高まる。

SWITCHが『PERFECT DAYS』の特集。表紙は森山大道が撮影した役所さん。言わずもがな、役所さんを写した写真はかっこいいのだが、明暗をくっきりと捉えた風景写真に痺れる。東京のトイレを写した写真の大胆な構図、隅田川の水面を捉えた写真の彫刻刀で削ったような荒々しさ。共同脚本を務めた高崎卓馬のテキストも魅力的で、それに思うところがあって、久しぶりに雑誌を購入。

湯気ちゃんと合流。タイ料理のお店に行きたかったのだが、まさかのお休み。祝日前夜なので、酒気帯びの町はどこもかしこも浮ついた雰囲気だった。好きな居酒屋を覗くと、一度は断られたが、先客のご夫婦と思しき方たちが「もう出ますよ」と声をかけてくださる。ありがたい。アジのお刺身、ナスの田楽、舞茸の天ぷらなど。ホッピーが進む。帰宅後、SWITCHを読みつつ、晩酌の延長戦。

明け方、平日と勘違いしているiPhoneのアラームに叩き起こされるが、無事に二度寝

日記(2023.11.21)

昨日の午前中に荷物が届く予定だったが、正午を過ぎても届かなかった。結局は受け取れず、自宅を出る。すると、最寄りの駅に着いた頃合いに「お届けに参りましたがご不在でした」という通知が。数分の差だった。特に急ぎでもなければ、荷物の遅延にも寛容なつもりだが、こういう機械的なメッセージには苛つきと寂しさが湧き上がる。本日、無事に荷物を受け取った。荷物は実家からの物資だった。お米、お野菜、お菓子など。

仕事の合間に友人と会った。短時間だったが、久しぶりだったので嬉しかった。あちこちに話が転がり、これぞ雑談だなと思ったが、たまにしか会わないのにさらっと雑談に転がせるのはありがたい。弾ませられない雑談もある。

ヴィム・ヴェンダースの作品をひとつも観てない。それを話すと、「意外だね」と言われる。今日も言われた。言われる理由はわかるような、わからないような。新作『PERFECT DAYS』は面白そうだが、最初がこれでもいいのだろうかとも思う。以前、『パリ、テキサス』を観ようと試みたが、冒頭で気絶。再チャレンジの機運だろうか。役所さんの新作は観たい。

帰宅後、今朝届いたお米をさっそく炊いた。とり肉とピーマンと玉ねぎを炒める。玉ねぎのスライスと豆腐と大量の薬味。もりもりと食べる。帰途では「ヴェンダースの映画でも観るか」と考えていたが、今夜は日記と自炊のみ。十分にえらいと自身を褒める。

雑感(2023.11.20)

ブログの内容を「日記」と「雑感」で分けた。前者はそのままで、後者は最近の思考など。ブログのカテゴリは同じ。私の平日を書いても大概は同じ出来事の繰り返しなので、この分け方は妙案。日々と思考は流動的なので、日時では括れないとも思う。数日分の思考の記録は雑感に括る。

ブログを多くの人に読まれたいという願望はないが、ブログの更新を告知する場所がなくなった。購読の機能もあるが、それははてなブログの登録者に限られる。ここをブックマークに登録する物好きはいるのだろうか。思い返せば、ブックマークに登録する作業も減った。SNSを眺めれば好きな情報は追える。定期的にお気に入りのサイトを巡回する手間は失われた。

週末は湯気ちゃんと会った。久しぶりの客人。自宅に他者が居る光景が新鮮だった。反面、拙宅の疎かな部分が浮かび上がる。生活用品を買い替えたい。適当な夜食を作り、晩酌。

漢字とひらがなの表記に迷う言葉がある。これには自分の中に流行り廃りもある。目下の悩みは「久しぶり」の表記なのだが、元々は「ひさしぶり」だった。「久し振り」に流行の兆しも見たが、すでに廃れた。こういうときは好きな人の言葉を読む。有名無名は問わない。寺尾紗穂のエッセイでは言葉を見つけられず。折坂悠太は「久しぶり」の表記だった。ついでにエッセイも読み直す。湯気ちゃんの日記も「久しぶり」の表記だった。現在のトレンドは「久しぶり」に決まった。